今日は、小暮真琴さんと康熙奉先生の共著、
「韓国ひとめぼれ感動旅韓流ロケ地&ご当地グルメ紀行』」のご紹介です。
読み終えた今の私は、
まるで充実した長旅から帰ってきたような、不思議な読後感。
200回以上も韓国に訪れた韓国地方旅プランナーの小暮さん(ビョンさん)、90年代から市場や史跡に足繁く通った康熙奉先生の壮大な経験を追体験できる、なんともぜいたくな旅エッセイです。
ロケ地や絶景、名物料理、歴史探訪など、ガイド本として膨大な情報が詰まっているのはもちろんですが、
私をもっとも心震わせるのは、この本の真骨頂ともいえる
「ビョンさんが感じた韓国人の情と、ふれあい」です。
たとえば、
全羅南道の黒山島での体験。
天候に左右される島旅で、予定通りいかずにヤキモキしているなか、
ある天使が舞い降りたエピソードは、まるで映画やドキュメンタリーを見ているよう。
そのほかにも、ビョンさんが地方を歩けば至るところで…
●人参ケーキが美味しいといえば、もう一つサービスされたり、
●たまたまバス停で話しかけたおばちゃんが、手作りのどんぐり寒天を食べさせてくれたり、
●たまたま道を聞いたアジョシがガイドさんで、バスで素敵な宿まで送ってくれて、しかもその宿のハルモニがあちこちで世話を焼いてくれたり…。
●はたまたタクシーの運ちゃんが途中で差し入れを買ってくれたり…。
(まだまだたくさんあり、上記はほんの一部です。)
一瞬、
え? なんでなんで??
地方ってみんな神対応??
と思ってしまうのですが、
いえいえ、そんな単純なことではありません。
ビョンさん流の旅の特徴は、初めて行く場所、初めて会った人にも、まるでここに住んでいるかのごとく、現地に溶け込み、すーっと馴染んでいくこと。
言い換えれば、
その姿勢を何よりも大事にされているのです。
いちばん端的に表れているのは、
4章「釜山・人情酒場」編。
(こうみえて)一人旅はおろか、一人飯さえもできない私としては、
こういう肝っ玉の据わった行動が本当にリスペクトなのですが、ビョンさんからしたら、
それこそが旅の醍醐味なのでしょう。
ビョンさんが向ける、その土地の方、出会う人たちへの愛情と好奇心、
分け隔てなく接するコミュニケーション力、謙虚な姿勢こそが、
数々の奇跡と幸運を引き寄せ
200回も韓国に向かわせた
ということが、ひしひしと伝わってきました。
一般のガイド本では決して得ることのできない、
ビョンさんの旅の極意と魂が詰まった1冊。
ページをめくる手が止まりませんでした。
また、共著者の康熙奉先生のエッセイはとても文学的で、
時にクスリと笑わせ、時にちょっぴりセンチメンタルな気分にもなれる、
まるで短編小説を読んでいるような感覚でした。
歴史への造詣が深く、お酒や鉄道、そして偶然の出会いを楽しむことが大好きな、
チャーミングな人柄が伝わってきます。
韓国がまだ見ぬ世界の方へ。
また、今までと違った世界を見てみたい方へ。
おすすめしたい1冊です。
ちなみにおふたりのうちどちらが書いたエッセイかは、巻末に載っていますが、
文章を読んで振り分けてみたところ正解率100%だったという、
ちょっとした余談と編集者魂を付け加えさせていただきます( *´艸`)
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